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若者へのメッセージ

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 われわれが卒業した昭和32年の京大卒業式で、この年でお辞めになった滝川幸辰総長から「ただ酒は飲むな」という卒業生への餞のお言葉をいただいた。

 自分のポケットマネーなら好きなように使えばよいが、会社のお金や税金で賄われている公金でもって接待や贈答をしたり、されたりすることの愚を厳しく諭されたものである。

 高度経済成長時代の膿が最近になって顕在化してきた面はあるものの、贈収賄汚職や腐敗、談合、政官財の癒着などのひどさを見るにつけ、「ただ酒は飲むな」は、今こそ改めて噛み締めるべきまさに「警世の句」であると再認識している。

 滝川総長は、右顧左眄することなく、「汝の道を進め」とも同時に諭されている。

 私自身、この処世訓を拳拳服膺して来たとは言い難く、第一線を知り退いてようやくその愚かさを悟ったところである。次代を担う若者が同じ過ちを繰り返さないように切に望む次第である。

(2008年10月1日、京大学生新聞会発行「京大夢ノート」第2章「メッセージ」p122所収)






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