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UK A-Z Part 1 (上)~英国切手の魅力シリーズ(10)~

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 201111月と20124月の2回に分けて英国内の優れた景観や建造物の中から頭文字AからZまでの26件を選んだ記念切手"UK A-Z"が発行された。A-Zは英国の名所すべてといった意味合いである。AからZまでを網羅すべく無理をした結果、ロンドンに永く住んでいる日本人にもなじみの薄い隠れた見所が含まれている。

Angel of the North(エンジェル・オブ・ザ・ノース、北の天使)

 英国の彫刻家アントニー・ゴームリーによって
1996年に、100万ポンド(約1.8億円)の公費を投じて製作された巨大な彫刻作品。イングランド北部のタイン・アンド・ウィア州ゲーツヘッドを貫く高速道路からタインサイド工業地帯を見渡す丘に建っている。時速160キロの強風が吹きすさぶ荒涼とした丘の上である。
中央像高さ20米、両翼部分が54米の鉄鋼製で、伝説上の天使をモチーフとし、この像が建つ丘の下にあった炭鉱とその労働者から情報化時代へ移行する希望と不安を表象している。英国最大の彫刻作品であり、世界最大の天使像である。

Blackpool Tower
(ブラックプール・タワー)

 ブラックプールはイングランド北西部のアイリッシュ海に面するランカシャーの町で、
19世紀半ばから鉄道の開通により多くの観光客が訪れるようになった。市内を一望できる海岸近くに高さ158米の展望塔が建っている。このタワーは1894年にパリのエッフェル塔に刺激されて建設された。当時は英国の建造物中最も高く、塔を引立たせるイルミネーション(電飾)の発祥の地としても知られる。

Carrick-a-Rede(キャリック-ア‐リード吊り橋)
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北アイルランド北部、アントリム州の小村バラントイの近くにある断崖に囲まれた岬とキャリック島を結ぶ長さ20米、海面からの高さ30米の吊り橋。海鳥が乱れ飛ぶ中、この吊り橋を渡るのはきわめてスリリング。「一度は渡りたい世界の10大吊り橋」の一つに選ばれている。近くには、六角形に割れた柱状節理の世界遺産「ジャイアンツ・コーズウエー」がある。

Downing Street(ダウニング街)
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 10番地に首相官邸がある。外観はいかにも簡素で18世紀の一般住宅のような佇まいであるが、中には 100室ほどあり、内装は豪華である。政府の施設として300年間使われ、1905年からは首相官邸となった。サッチャー首相は、この官邸を"one of th most precious jewels in the national heritage"と評した。
 観光客に人気があるのは、この官邸と地下道で繋がっている近くにある地下壕・内閣戦時執務室(Cabinet War Rooms)である。第二次世界大戦中にチャーチルが執務し、115回の閣議を開いた部屋がそのまま保存されており、チャーチルの肉声録音も聴ける。1984年に公開され、2005年からはチャーチルの生涯を展示した博物館が増設された。

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Edinburgh Casle(エディンバラ城)

 キャスル・ロックという岩山の上に建つ古代からの要塞で、スコットランドの首都・エディンバラのシンボルである。
エディンバラ城内のエスプラナード広場で日が暮れてから催されるロイヤル・エディンバラ・ミリタリー・タトゥーは、毎年
8月下旬から3週間に亘って繰り広げられるエディンバラ音楽祭の目玉となっている。古色蒼然としたお城を背景に演奏されるバグパイプ隊や軍楽隊、各国から招聘された鼓笛隊などによるワグナーからスター・ウォーズまで幅広い音楽・ダンス・光のショーは見応えがある。
 スコットランドは8月でも夜は結構寒いので、毛布持参で何回か観に行った(下掲左)。

Forth Railway Bridge
(フォース鉄道橋)

 エディンバラの北方、セント・アンドルースへ向かう鉄道が通る全長2,530米の3本の鉄橋。強風に耐える堅固な構造のデザインで知られ、建設時には世界最長の橋であった。100年以上を経た現在も現役で、2015年には世界遺産に登録された(下掲右)。
 "Painting the Forth Bridge"というイディオムは「全体があまりにも大きいので、描くのに多大の時間が掛かり、なかなか完成しない」ことの喩えとして演説などによく使われた。
1964年にはフォース鉄道橋の近くに徒歩でも渡れるフォース・ロード橋も建造され、完成当時はヨーロッパ最長の吊り橋であった。

Glastonbury Tor(グラストンベリー・トア)

 サマセット州のグラストンベリー近郊にある丘の頂上付近にある屋根のない聖ミカエル教会。サマセット州はイングランド南西部の北側でブリストル海峡に面している。かつてこの辺り一帯は沼地であり、この教会は晴れた日には30キロほど離れたところからも見えた。古代より英国の原住民・ケルト人の聖地であったほか、アーサー王伝説にも登場する。
2012年のオリンピック開会式のアトラクションでは、この丘をモデルとした丘の模型が会場に設えられ、各国国旗の掲揚場所となった。

Harlech Castle(ハーレフ城)

ウェールズの北西部ハーレフ市にある古城。1283年から7年を掛けてイングランド王・エドワード一世はこの城をウェールズ攻略の拠点として建設した。ところが、1404年にはウェールズ人の反乱軍に占拠され、ウェールズ人と近隣のイングランド人との争いは、近年に至るまで長い間続いた。切手の"Castell Harlech"はウェールズ語の表記。
 カーナヴォン城、ビューマリス城、コンウィ城とともに、エドワード一世ゆかりの城郭と市壁として1986年に世界遺産登録された。

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