2018年5月11日に、英国内に生息するフクロウ5種の記念切手10枚(上下同種)が発行された。世界には約200種存在するフクロウのうち、英国内で見られるのはこの5種のみ、しかもうち2種は外来種である。左から順に特徴を解説する。
1、Barn Owl(メンフクロウ、学名; Tyto alba)
Barn (納屋)のような人家に営巣することから名付けられた。和名のメンフクロウ(面梟)は、仮面を付けているように見えることから付けられた。ネズミやモグラなどの小型哺乳類を捕食し、世界中に広く生息している。
2、Little Owl(コキンメフクロウ, 学名; Atbene Noctua)
元来は温暖な地域に生息し、英国へは19世紀末に持ち込まれて繁殖した。小型で、頭は平たく、羽毛は灰色が買った褐色で、主に夜行性の種である。昆虫やミミズ、両生類などを捕食する。和名のコキンメンフクロウ(小金目梟)は目が金色であるところから来ている。
3、Tawny Owl(モリフクロウ、学名;Strix aluco)
英国でもっともポピュラーな種で、全地域にわたり約5万番が生息し、定住性が高い。他種の平均生存期間が12~15年程度であるに対し、Tawny Owlは23年と長い。近年は減少傾向にあり、種の保存活動が行われている。
森林に生息する夜行性で、一年を通してつがいで行動する。ネズミ、カエル、鳥類などを捕食する。全体が黒く、羽毛が付いているもののほとんど飛ぶことはできない。ユーラシア大陸に広く生息、わが国のフクロウはこの亜種。
4、Short-eared Owl(コミミズク、学名; Asio flammeus)
頭部から背面の羽毛は薄褐色で、暗褐色の縦縞が入る。外耳状の羽毛が短いことが、英名や和名の由来。世界中に広く生息、日本で見られるのは冬季に越冬のため全国的に飛来するコミミズクである。日本では、フクロウ(梟)のうち、耳のような羽角がある種をミミズク、ズク(木菟、木兎、鵩、鶹)と総称するが、英国ではすべてOwlである。
5、Long-eared Owl(トラフズク、学名; Asio otus)
頭部から背面の羽毛は灰褐色で、褐色の縦縞が入る。腹面の羽毛は黄褐色で、黒褐色の縦縞が入る。英名は外耳状の羽角が発達しているところから付けられたが、和名のトラフズク(虎斑木菟)は羽毛の縞模様に由来する。ユーラシア大陸、北アメリカなどに広く分布する。
英国の田舎では、月光の冴えた静かな夜に耳を澄ますと、フクロウの鳴き声を聴くことができる。求愛期のオスは十数秒おきに犬が吠えるような低い音で物悲しく鳴き、その鳴き声は数キロ先まで届くことがある。ことにTawny owlはフルートのような音色で鳴くと言われている。
日本では、フクロウのフクを「福」に懸けて、招福のお守りなどに使われているが、英国では"as wise as an owl"(とても賢い)といった表現に見られるように「賢者」の象徴とされている。