2022年3月8日にFAカップの記念切手6枚と4枚のミネチュア・シートが発行された。
6枚の切手は画像が下のミシン目まで伸びており、上部と左右の枠がサッカーのゴールポストのように見えるように工夫されている。
上段左より順に、
1、額面;1st 1971年にトロフィーを掲げてパレードするアーセナルの選手、チャーリー・ジョージとフランク・マクリントック
2、額面;£1.70 A Big Day Out、1968年の決勝戦でチームを応援するウエスト・ブロムウイッチ・アルビオンのサポーター
3、£2.55 FAカップの番狂わせ、リンカーン・シティーは2017年にハーンリーを1対0で降し、103年ぶりに非リーグ・チームとして準々決勝に進出した。
下段左より順に、
1、額面;1st 1923年の決勝戦での観衆、ウェンブリーの元のスタディアムで開催された最初の試合
2、額面;£1.70 クラシック決勝、1987年の決勝で、トッテナム・ホットスパーと対戦したコベントリーのキース・ホーチェン
3、額面;£2.55 王室の後援、1937年、サンダーランドのキャプテン、レイチ・カーターにトロフィーを贈呈するジョージ6世とエリザベス王女
下掲のミネチュア・シートの4枚は、左から順に、
1、サポーター記念品
2、優勝メダルとトロフィー
3、公式マッチ・デーアイテム
4、カップ決勝記念品
FAカップ(The FA Cup、FA杯)は、1871年に創設された英国で行われるサッカーのカップ争奪戦。
FAは"The Football Association"(ザ・フットボール・アソシエーション)の頭文字。最古のサッカー協会のため名称に国名が付いていない。世界で最も長い歴史を誇るサッカーの大会であり、ワールド・カップをはじめ、多くの国のカップ戦がこの大会をモデルにしている。
FAカップにはプロ・アマに関係なく、英国内でFAに登録している全てのクラブに参加資格がある。ホーム・アンド・アウエー方式ではなく、一発勝負で、どちらのホームでゲームを行うかも抽選時に決定する。このため波乱が起きやすく、番狂わせも多い。
2019-20シーズンまでは引き分けの場合、延長戦はなく、相手クラブのホームで再試合(リプレイ)を行なっていた。以前は決着がつくまで何度もリプレイを行なっていたが、現在では第2試合が引き分けた場合には、延長戦及びPK戦を行うこととなっている。両チームの合意があれば、初戦で延長戦、PK戦を行い、決着をつけられるようにもなっている(これは下部クラブの遠征費用などを抑えられるようにするための規約であるため、予備選以外で利用されることはほとんどない)。
2020-21シーズンは新型コロナウイルス流行の影響により日程が圧迫されたことを受け、再試合制は廃止された。準決勝と決勝は90分で決着が着かなかった場合は延長戦及びPK戦を行い勝敗を決める。
準決勝以降の試合は中立地で行われる。準決勝は以前はマンチェスターとバーミンガムで行われていたが、2008年以降はロンドンのウェンブリー・スタディアムで開催されるようになった。そして決勝も同じくウェンブリーで開催される。決勝はプレミアリーグ終了後最初の土曜日に行われるのが通例であるが、2010-11シーズンはシーズン中の5月14日に行われた。
決勝戦はFA総裁(President)である英皇室が観戦することが慣例となっている。通常、キックオフ前のセレモニーでは出場選手と審判のみがピッチに入場して整列するが、FAカップ決勝戦ではFA総裁らに挨拶のため、出場両クラブの監督も選手とともに入場整列する。試合後の表彰式では、FA総裁は準優勝クラブ各選手に準優勝メダルを、優勝クラブ各選手に優勝メダル、最後にキャプテンにFAカップを授与する。
優勝クラブには、翌シーズンのヨーロッパ・リーグ(UEL)出場権が与えられる。FAカップでの優勝回数は、ロンドンを本拠とするアーセナルの14回、次いでマンチェスター・ユナイテッドの12回となっている。
ウェンブリー・スタディアムは、2007年に大改造が完成し、90,000人を収容できる。この規模は、スペイン・バルセロナのカンプ・ノウに次いでヨーロッパ第2位の大きさであり、屋根のついたスタジアムとしては世界最大である。
筆者も在英中には、旧ウエンブリー・スタディアムへよく出掛けた。当時はテラス(Terraces)と称された立見席が過半を占めていた。一つの区画に100人ほどの観客が押し合いへし合い詰め込まれて立ったままで応援するのである。これも、寒い時期には暖かく、懐かしい思い出である。この立見席は、その後大きな事故が起こったので廃止された。ところが、最近に至り、CCTV(監視カメラ)の強化、スチュワードのトレーニング、ファンが個人のスペースを厳格に守ることなどの厳しい条件の下に、この立見席を小規模で復活する案が持ち上がっている。