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英国の川に生息する動物~英国切手の魅力シリーズ83~



 2023年7月13日に発行された 10 枚セットの「リバー・ ワイルドライフ(River Wildlife)は、英国の自然水路に生息する多様な動物相を紹介している。

 山岳地帯の小川、岸辺、野原から低地の広い川まで、英国には33万マイルを超える川が流れており、これらの川の中やその周辺には多様な動物が生息している。

 この記念切手では、哺乳類 3 種、鳥類 3 種、魚 2 種、昆虫 2 種の写真を採りあげてデザインしている。



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上段(すべて2d)は左から順に

1、ビーバー(Beaver)

 ビーバーはヨーロッパや北米に生息し、日本にはいない。漢字では「海狸」と記されている。かつては英国全土にビーバーが生息していたが、毛皮採取のための乱獲が祟って、スコットランドの一部を除いて400年前に絶滅した。

 ところが、今年10月にロンドンのカーン市長が、同市西部のイーリング地区に広がる湿地帯にスコットランドに生息していた野生のビーバー一家の5匹が放たれたと発表、ロンドンでのビーバー復活は約400年振りと強調した。カーン市長も放流に立ち会い、「ビーバーは自然のダムを築く動物であり、より広い生態系の助けになる」などと主張した。今回の事業にはロンドンの生態系の回復を図る基金から約4万ポンドが拠出された。

 ユーラシア・ビーバーは、水かきのある後足、操縦用の平らな尾、泳ぐときに水の上に留まるように頭の高い位置にある目、耳、鼻孔を備えている。

2、アトランティック・サーモン(大西洋鮭)

 アトランティック・サーモンは、スコットランドの川の源流で生まれ、海に向かって1~4 年間を海で過ごし、その後成体となって繁殖のために生まれ故郷の川に戻ってくる。この複雑な旅はさまざまな危険にさらされており、その数は急激に減少している。

 北大西洋に浮かぶグレートブリテン島の北部3分の1ほどを占め、1.6万kmを超える長い海岸線に無数の河川を持つスコットランドには、厳しくも豊かな自然が広がり、アトランティック・サーモン・フィッシングの文化が発展してきた。

 ここで釣れる鮭は体が大きく、姿が優美で、さらに毛バリで釣れることから、ヨーロッパでは昔からサーモン釣りこそが貴族に相応しい至高のスポーツと位置付けられてきた。スコットランドでのサーモン・フィッシングには、管理された私有地でのこのうえなく贅沢な催しも残っている。筆者も在英中に3日間、朝から晩まで、腰まで覆う長靴を履いて一日中川の中に立ち尽くし、三日目にようやく体長1メートルを超える巨大なサーモンを釣り上げた得難い経験をした。

3、カワセミ(Kingfisher)

 このサファイア、コバルト、黄土色の半虹色の色調鮮やかな鳥は、川面すすれに低く飛ぶ。英国の川にはよく見かけられる。もっとも、カワセミの羽には青い色素は含まれておらず、その見かけの色は単に光の反射によって生み出されたものである。巣を作り、小魚を食べるため、砂地のある勾配の低い川を好む。

4、美しいアモアゼル(Demoiselle)

 多くのイトトンボとは異なり、美しいアモアゼルは湖よりも川を好む。捕食性のニンフは砂利床に潜み、繊細な成虫は岸辺の植生の周りを羽ばたく求愛飛行を行う。オスはメタリックブルー、メスはブロンズグリーンの羽を持っている。

5、ミズハタネズミ(Water Vole)

 ヨーロッパミズハタネズミは、他の地域のネズミよりも大きく、毛はイングランドでは栗色、スコットランドではほぼ黒になる。生息地の減少、集約的な農業、外来ミンクによる捕食により、急速に減少している。

下段(すべて1st)、左から順に

6、キセキレイ(Grey Wagtail)

 その名前が示すよりもはるかにカラフルなキセキレイは、浅い川の縁から水生動物を摘んだり、飛行中の成虫を捕まえたりする。スズメより大きく、尾羽が長い。ハクセキレイと比べると、細身で、翼は黒、腹は黄色とメリハリのある色調。

7、カゲロウ(蜉蝣、Common Mayfly)

 5~6月に出現し、水上を大量に飛び回るカゲロウ。砂や砂利の床、または水生植物の下に穴を掘って、酸素の摂取量を増やすために羽毛のようなえらを振動させながら、ニンフとして2〜3年を過ごす。

8、カワウソ(Otter)

 イタチ、フェレット、テンの近縁種であるユーラシア・カワウソは、水かきのある足、厚い毛皮、小さな耳、そして流線形の形状を備えており、水中での生活に適応している。ウナギ、サケ科の魚、ザリガニを捕食し、場合によっては両生類や水鳥も捕食する。カワウソは好奇心が強く、大変遊び好きで、器用に前肢を使い、物を持ってくるくると回転させたりする仕草を見せる。

9、ブラウン・トラウト(茶色の鱒)

 金色の上面に黒または赤みがかった斑点が散りばめられたブラウン・トラウトは、酸素の豊富な川で繁栄し、流れに乗って漂ったり、周囲の植生から落ちたりする動物を食べる。回遊性の海トラウトは異なる。

10、ディッパー(ノドジロ、Dipper)

 上下に揺れる習性で知られるノドジロは、流れの速い水の中を歩いたり、泳いだり、潜ったりして、ニンフ、幼生、小魚を食べる。農業汚染の影響を受けた地方の河川沿いでは減少している一方、かつて汚染されていた都市部の水路に再び定着している。








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