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ロード・メイヤーズ・ショー ~英国切手の魅力シリーズ(31)~  



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 198910月にシティーの初代ロードメイヤー(Lord Mayor)就任800周年を記念して、就任直後のお披露目であるロード・メイヤーズ・ショー(Lord Mayor's Show)の山車を描いた記念切手5枚が発行された(上掲)。

左上から右へ順に、Lord Mail CoachEscort of Blues and Royals(英国の騎兵連隊)、Lord Mayor's CoachCoach Team passing St.Paul'sBlues and Royals Horseとなっている。

毎年11月の第2土曜日朝11時からシティーを3時間半にわたって練り回るこのパレードは黄金の馬車に乗った新市長に加え、伝統衣装に身を包んだギルドの関係者や音楽隊、軍隊の関係者など総勢7,000人が色とりどりの装束や趣向で闊歩する大行列である。数十台の山車のほか、馬も50頭ほど参加する。

筆者が最初にロンドンへ赴任した1986年には、旧住友銀行ロンドン支店が入っていたビルの前をパレードが通ったので、窓の外に張り出した狭いバルコニーから身を乗り出して間近に眺めることができた。

City of Londonの市長(Lord Mayor)は1189年に就任した初代のフリッツエルウィン公爵から数えて昨年までで687人とされている。うち女性は歴代で2人だけである。この新市長就任を祝うパレードは1215年に初めて行われた。この年にジョン王が債務の後始末に困ってシティーに独自の市長を選ぶことを許し、その市長がウエストミンスター宮殿へ出向いて忠誠を誓う行事として始まったものとされている。

しかもこのパレードは800年にわたって、ロンドン大火の時も、激しい空爆を受けた世界大戦の最中にも1回も中断することなく毎年決められた日に行われてきた。ただし、1959年までは119日に開催と決められれていたところ、185211月にはナポレオンを破ったウエリントン公の国葬日と重なったため開催日が変更された。

晴雨にかかわらず、戦火の下でも800年も続いて1回も休むことなく催行されてきたパレードはおそらく世界に類例がない。千年の歴史を誇示している京都の祇園祭も応仁の乱や第二次世界大戦で中断されている。

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シティーの市長は大ロンドン市の市長(Mayor of London)との混同を避けるために爵位の有無にかかわらずLord Mayorと呼ばれている。Lord Mayorはかつてはシティを実質的に統括するThe Corporation of Londonの最高経営者であったが、現在はシティーを代表する無給の名誉職であって、行政上の権限はほとんどない。

シティー・オブ・ロンドン自体、広さ約1マイル四方(2.9平方キロ)と大ロンドン市を構成する32の区の中では最も小さく、居住人口もおよそ11,700人と少ない。ただし、昼間人口は30万人を超えている。

シティーに関連したテーマの記念切手は3枚ほど発行されている(下掲)。左から順に次の通り。

1、 City of Londonの紋章;19841月に紋章院(College of Arms)創設500周年記念として発行された4枚の中のシティーの紋章。

2、 シティーを走り回るデータ配送専門の郵便配達夫;19857月に発行されたRoyal Mail発足350周年記念切手4枚の中の1枚。

3、 シティーにあるロイズ保険ビルの先進的なデザイン;先進技術をテーマとしたミレニアム・シリーズ4枚の中の1枚。

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