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キューガーデン・絶滅危惧野生植物の再生~英国切手の魅力シリーズ(22)~

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 20095月に英国各地に野生している草花などの中からこのまま放置すれば絶滅が危惧される10種を図案化した記念切手10種(上掲)が発行された。切手の左端に表記されている野生植物の通俗名と学名(カッコ内)を左上から順に下記する。すべてがまったく理解できない英語である。

Roud-headed Leck (Allium spbaerocephaon)

Floating Water-plantain (Luronium natans)

Lady's Slipper Orchid (Cypripedium calceolus)

Dwarf Milkwort (Polygala amarella)

Marsh Saxifrage (Saxifraga bircuulus)

Downy Woundwort (Stachys germanica)

Upwright Spurge (Enphorbia serrulata)

Plymouth Pear (Pyrus cordata)

Sea Knotgrass (Polygomum maritimum)

Deptford Pink (Diantbus armeria)

絶滅危惧植物の保護や再生にはいくつかの団体が取り組んでいるが、その中心となっているのがロンドン南西郊にあるキューガーデン(Kew Garden)であり、この王立植物園内の4施設を描写した記念切手シート(下掲)も同時に発行された。

120ヘクタールの広大な敷地を擁するキューガーデンは1759年に宮殿併設の庭園として始まり、1840年に王立の植物園として開園、現在世界中から集めた約4万種類の植物が展示されている。2003年にはユネスコ世界遺産に登録された。

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左上;Palm House1848年に完成した鉄と手吹きガラスで出来た曲線的な外観の巨大温室。大きなパームツリー(椰子の木)をはじめ、世界中から集められた熱帯植物が大陸別に植えられている。

右上;Millenium Seed Bank,Wakehurst Placeサセックス州・ウエークハーストに465エーカーのキューガーデンの付属庭園がある。この庭園の一角に絶滅が危惧される世界中の植物の種を保存する目的で2000年に建設された温室施設。

左下;Pagoda東西に長く伸びた庭園の西のはずれに1762年にウイリアムズ・チェンバー卿の設計で建てられた。パゴダは8角形の10層で高さ6米の中国風。自然の風景に見事に溶け込んでいるが、朱色の塗装はさすがに色褪せており、内部は公開されていない。

右下;Sackler Crossing庭園内の大きな池に慈善家サックラー夫妻の寄付で2006年に架けられた近代的なデザインの橋。

1990年にも、王立植物園開園150年を記念して4枚の記念切手が発行されている(下掲)。

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パゴダの近くには立派な日本庭園がある。1910年の日英博覧会の折に展示された西本願寺の勅使門(唐門)を4/5に縮めた複製や民家も移設され、竹林に囲まれた自然の景観に馴染んでる。

 勅使門の隣には、昭和11年に高浜虚子が英国を訪れた時に詠んだ「雀らも人を恐れぬ国の春」の石碑とその英訳"Even Sparrows Freed from all fear of men, England in Spring"の銅版が建てられている(下掲)。この句碑は1979年に虚子の娘さんと俳友たちによって建立されたものである。

 ロンドンのトラファルガー広場辺りでは、餌につられて鳩が数多く集まって来るが、人懐こくって少々驚かされても逃げないのは、まさにこの句に詠まれた通りで、印象に残っている。

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