1994年7月にスコットランドにある代表的なリンクスのゴルフ場5か所の有名ホールでのプレイを図案化した記念切手が発行されている。
セントアンドリュースのオールドコース(左上)
言わずと知れた「ゴルフ発祥の地」として有名な「神が造りたまいしコース」。1552年に同地の教会が出したゴルフ・プレーの許可状が現存している。当時はハーフ12ホールで、グリーンのすぐ横にティー・グラウンドがあり、グリーンはアウトとインで共有していた。これが1764年にワンラウンド18ホールに縮められて、その後のスタンダードとなった。
折り返しの9番ホールは一番奥の岬の先端にあり、昔の名残で今でも7つのグリーンでアウトとインの二つのカップが共有されている。現在のオールド・コース・ホテルの敷地にはかつて鉄道の駅舎が建っていたが、大事にしていた庭の草花にボールを打ち込まれた駅長が苦情を申し立てたことから、そこを白杭で囲ってアウトとしたのが、OBの始まりとされている。
2015年には、第144回ジ・オープン(全英オープン)が開催され、29回目のセントアンドリュース開催となった。英国人はこのジ・オープンだけが真に世界規模での権威あるゴルフの競技会と信じている。
ミュアフィールド(右上、18番ホール)
1744年に設立された世界最古のゴルフ・クラブ「オナラブル・カンパニー・オブ・エディンバラ・ゴルファーズ」の本拠地。スコットランドで最も格式の高い名門コースで、最初に13カ条のゴルフ・ルールを掲げた。
カーヌスティ(左下、15番ホール:Lucky Slap)
全英オープン開催コースの中で最も難しいとされている。切手に描かれている「ラッキー・スラップ」と名付けられた15番ホールは459ヤードもあるスケールの大きいミドル。川幅2~4米のバーンと呼ばれる小川がコースを蛇行しており、このバーン越えのホールが多い。
ロイヤルトルーン(下段中央、8番ホール、Postage Stamp)
上述の3コースはスコットランドの東海岸に位置しているのに対し、ロイヤルトルーンとターンベリーはイングランドに近い西岸にあり、グラスゴーから近い。
切手画像の8番ホールは、ウイリアム・パークというゴルフ解説者が‟A piching surface skimmed down to the size of a postage stamp"と評したことから、「郵便切手」と名付けられ、グリーンが極端に小さくてプロでもワンオンできない123ヤードの難ショートホールとして知られるようになった。
ターンベリー(右下、9番ホール)
海岸沿いのコースから白亜の灯台やお椀を被せたようなアイルサ島を眼前に望める風光明媚なリゾート・コース。灯台を左前方に見ながら、海を越えて打つ9番ホールが有名。
このコースとリゾート・ホテルは一時期日本の日東興業が所有していたが、2014年4月にロナルド・トランプが買収。彼の問題発言から、2019年に予定されている全英オープンの開催が危ぶまれている。
筆者は在英中にロイヤルトルーンを除く4コースで20回近くプレイをしたが、あまりよい印象は残っていない。晴天のケースは極めて稀で、驟雨や強風に悩まされることが多かった所為である。
グレンイーグルス
一方、スコットランドど真ん中にあるグレンイーグルスは、まさに世界最高のリゾート・コースで快適であった。週末にロンドンからの夜行列車で早朝にグレンイーグルスに着き、プレイ後に一泊して翌日はセントアンドリュースでプレイをして飛行機で帰るというツアーを何回か試みた時の記憶は比較的鮮明に残っている。
このコースはリンクスではないので、全英オープンの開催場所とはならないが、グレンイーグルス・ホテルでは2005年7月に第31回主要国首脳会議(グレンイーグルス・サミット)が開催されている。