1991年11月27日に亡くなった父・岡部利良の葬儀・告別式は11月29日に左京区一乗寺の両親の自宅から200米ほどしか離れていない近隣の佛日山金福寺で執り行われました。
金福寺は臨済宗南禅寺派の寺で、この寺には与謝蕪村の墓所があり、蕪村一門によって再興された芭蕉庵があります。また、船橋聖一著の「花の生涯」のヒロイン村山たか女ゆかりの寺としても知られています。
俳諧寺として有名なこのお寺で詠まれました句には、
憂き我を寂しがらせよ閑古鳥 芭蕉
我も死して碑にせむ枯尾花 蕪村
往く春や京を一目の墓どころ 虚子
があります。また、芭蕉庵が落成した時に詠まれた次の句が残されています。
耳目肺腸ここに玉巻く芭蕉庵 蕪村
金福寺は葬儀会場は提供しない方針でしたが、当時の和尚さんが一時京大経済学部に勤めておられて、父とのご縁があったので、例外として生前から葬儀を引き受けていただいていたものです。
葬儀には300人を超える参会者にご参加いただきました。ただ、当日はみぞれ交じりの冷たい雨の降る寒い日で、急遽お寺の前の空き地にテントを張るなど対応が大変でした。
父は、生前に岡部家代々の墓所である兵庫県新温泉町諸寄の龍満寺のお墓に入る積りでおりましたが、諸寄は京都からはJRで8時間ほど掛かる遠隔地ですので、急遽金福寺のすぐ近くの兄弟寺・圓光寺さんにお願いして墓を丸ごと京都に移して納骨しました。
妹の西岡晶子が撮ってくれました当日の写真を下に掲げます。