2013年7月20日に「東海青年医会」で行ないました「オーストラリアの医療システム」についての講話に使いましたパワーポイント・スライド配布資料のPDFを添付します。
講演の要旨は、下記の諸点を中心に、オースオラリアの医療システムは英米の制度の優れたところを採り入れたシステムで、わが国のお手本として最適なものである点を強調しました。
○ オーストラリアの医療制度の特徴は、税金による無料医療を原則としながら、米国流の自由診療との混合診療を広く採り入れ、財源も民間保険の活用を奨励している(民間医療保険の保険料のうちi30%を税額控除、高所得者への付加税など)。
○ 医療保険適用の範囲は医療行為・薬剤ともに基本的なものに絞り、それを超える部分は混合診療として、民間医療保険と自己負担で賄う。たとえば、①歯科の除外、②医師の診療報酬は三本立てとし、特定の医師を指名すれば自由診療となる、③保険適用の薬剤は成分名で750種、銘柄名で3,000に厳選する、など。
○ 社会保障制度全般に、メリハリが効いている。年金の受給には所得制限と資産制限が掛けられ、高齢者の71%しか受給していない。介護認定におけるミーンズ・テストも厳格で、所得と資産を精査のうえ決定する、など
○ 皆保険の実現は1984年と30年弱の歴史ながら、制度の改変が柔軟に行なわれている。たとえば、薬剤給付制度PBSの自己負担額を毎年変更、要介護度を8段階から3段階へ一挙に簡素化、など
○ 薬剤の保険適用時だけではなく、医療機器や診療行為についても、医療経済評価(HTA)が広範に採り入れられており、それを支える医療経済研究者の層も厚い。