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チャールズ・シュワブとロビンフッド~米国のリテール証券事情

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チャールズ・シュワブとロビンフッド~米国のリテール証券事情.ppレジュメ



 コーポレイト・ガバナンス・ネットワークの自主研究会において、2022年3月9日に「チャールズ・シュワブとロビンフッド~米国のリテール証券事情」と題したプレゼンテーションを行なった。
 上掲のパワーポイント・レジュメをご覧いただきたい。

 このプレゼンの背景は、米国の家計金融資産は過去20年間でほぼ3.3倍に増加、日本は1. 5倍にしか増えていない。その主要因は家計金融資産の運用リターンの差にある。米国では高い運用リターンで個人の総金融資産が増加した。 
 そのけん引役は株式などの売買手数料を無料化して個人投資家の投資ニーズに応えたチャールズ・シュワブやロビンフッドの改革努力であった。
 そこで、このプレゼンの主眼は、米国の経済構造・証券経営のダイナミズムから学ぶべき点に置いた。

1、チャールズ・シュワブは、もともと売買手数料が主な収益源であったリテール証券会社(ブローカレッジ)を、その手数料(コミッション)をゼロとし、兼営する銀行での預金収益などをおもな収益源として、預かり資産の残高依存のフィー・ベース営業に転換した。
 長期・分散・積立型の個人投資家育成のビジネス・モデルを確立したチャールズ・シュワブの慧眼と忍耐強い改革は見事で、実質20年ほどで、世界一のリテール証券会社にのし上がった。

2、いっぽう、2013年にブルガリア出身のテネフ氏とその同僚が起業したロビンフッドは、ペイメント・フォー・オーダー・フローという市場外取引のホールセーラーから得るリベートを原資として売買手数料無料化を実現、スマホのゲーム感覚で短期売買に徹して投機的売買を楽しむ若者1,300万人をネットワーク化した。

 証券市場には長期的な投資家だけではなく、投機的な参加者も必要であり、投機を罪悪視する要はない。両社に共通するのは、デジタル化によって、店舗営業から脱却し、グーグルやアマゾン同様のデータの大量蓄積活用のビジネス・モデルを構築したイノベーションにある。

 日本では大手証券の既得権益が保護され、デジタル化は一向に進まず、個人投資家の高コスト負担が低減されることもない。これでは、証券投資の活性化は望むべくもない。この現状は嘆かわしい。










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