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<兜町(しま)だより>DMG森精機工場見学

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<世界市場8%を抑える業界最大手>

DMG森精機㈱伊賀事業所見学(証券No.6141

(東証ペンクラブ主催)

 新緑に風薫る425日、東証ペンクラブ一行20名はDMG森精機㈱伊賀事業所を午前・午後それぞれ1時間半ずつを掛けてじっくりと見せていただいた。玉井宏明副社長から来年創業70周年を迎える同社の沿革、企業理念などについてお伺いした後、まずベッド・コラム精密加工工場、第2組立工場を見学。

 両工場ともに24時間・365日の連続自動運転で稼働、操業・監視要員は2工場併せて1516名に過ぎない。工場には窓は一つもなく、空間温度は23±1Cに保たれている。これは工作機械の精度の誤差を5ミクロン(1,000分の5ミリ)という極小値に抑えるための作業環境整備であり、この精度は他国のどのメーカーにも大きく優っている由である。

 午後は組立工の匠の技が生かされている組立工場と顧客向けに約60機種の製品ラインアップを展示・実演している世界最大規模のグローバル・ソリューション・センターを見学した。

 伊賀事業所は1970年に操業を開始した同社最大の生産拠点で、世界の工作機械工場でも最大級の広さを誇る最新鋭の施設となっている。敷地面積57.8万平方米と東京ディズニーランドを上回る広大な敷地に総面積15.4万平方米の広々とした建屋が建設され、すべてが整然として清潔感に溢れている。

 工作機械の月産能力は5軸加工機、複合加工機など超先端分野での平均単価3千万円の中・大型機に絞って250台、当工場の社員数は1,500名、生産設備台数は250台と世界有数の台数を誇っている。

 当社全体の売上のに占める機種別比率でも5軸複合加工機が38%、複合旋盤が27%を占め、NC旋盤の中でも運用プログラムのソフトと組合わせた高級機種への集中を図っている。これが顧客のニーズにもマッチして、当社の強みとなっている。

 当社は本年(1~12月)度業績を売上;3,800億円、営業利益;220億円、営業利益率;5.8%と予想しているが、昨年第4四半期には営業利益率8.8%をを実現しているので、近々、通期で10%をクリヤーするのも非現実的とは思われない。

 当社は2009年度からほぼ同規模のドイツDMG社との資本提携・協業を開始し、2013年には両社とも社名を変更した。昨年4月には当社がDMGの株式の75%DMGの現時価総額;約4,000億円)を取得して、完全一体運営を実現した結果、世界の市場シェアー8%を抑える業界最大手に躍進した。この統合の果実を確かなものとし、高級機種分野でのシェア拡大に繋げられるかどうか、まさにこれからが飛躍への正念場であろう。

(岡部陽二 記)

201761日、日本株式新聞社発行「投資手帳」20176月号、第58巻第6p18所収)



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