話し手:九州大学大学院医学研究院 助教授
鮎澤 純子 氏
岡部陽二
鮎澤純子先生は薬剤師を10年ほど勤められた後に、保険会社に転じて医療全般のリスクマネジメントに携わられ、保険会社の関連会社で米国の病院での実務も経験されました。現在は九州大学で医療経営・管理学講座を担当のかたわら、大学病院の安全管理などの実務にも広く携わっておられます。今回は、先生の内外での豊富なご経験に裏打ちされた病院におけるリスクマネジメントのあり方についてお伺いしました。
〇 リスクマネジメントに取り組まれた契機
岡部 まず、最初に先生の多彩なご経歴の経緯と医療安全やリスクマネジメントの分野に関心をお持ちになりました動機などお聞かせください。
鮎澤 経歴についていえば、決していまあるところを目指して進んできたわけではないのです。気がついたら“多彩な”という経歴になっていたというのが実際のところです。ただ、今から考えてみると、早くして病院の立ち上げに関わったということが大きく影響したのではないかと思います。
薬学部を卒業して、大学病院に勤務したのですが、勤務直後から新病院の立ち上げのスタッフとしての仕事に就かせていただいたのです。企画の段階から参画して、開院準備、そして開院して、いろいろありながらも日々の業務が次第に軌道にのっていく、その一連の過程を経験することができたということが、組織やマネジメントの面白さに気づくきっかけになりました。
そして、その面白さに気づくなかで、病院というのは実はとても特殊な組織ではないかと感じるようにもなり、他の普通の組織も経験してみたいと思うようになったのです。ですから、企業に転じたのも、安全管理やリスクマネジメントをやろうと思ったからではなく、企業という組織に身を置いてみたいというのがその動機だったのです。結果として、病院という組織、一般企業という組織、さらには米国の病院、日本の病院といったいろいろな組織を経験し、比較しながらそれぞれ考えることができるようになりました。
岡部 一般の企業と比べて、病院が特異だという感じはよく分かるのですが、もう少し具体的にはどういうところでしょうか。
鮎澤 一言でいえば、やはり「マネジメント」だと思います。「組織としてのマネジメント」が欠如していたということです。
岡部 病院にはコーポレイト・ガバナンスが存在しなかったということでしょうか。
鮎澤 コーポレイト・ガバナンスもそのひとつ、ということになると思います。今でこそ医療界でもガバナンスという言葉が少しずつ知られるようになってきましたが、民間企業がガバナンスということを意識して組織づくりをしているほどには、まだ日本の医療機関の意識は高まっていないと思います。
もっともコーポレイト・ガバナンスについては、民間企業においても「外圧」のなかでここのところ急速に意識されるようになったのものではないでしょうか。そういう意味では、医療機関においても近年のいろいろな「外圧」のなかでその意味が次第に意識されつつあるといえるのではないかと思います。
岡部 今のお仕事も助教授としての研究と教育よりも、医師でいう臨床に相当する大学病院の安全管理や経営管理の比重が非常に高いのでしょうか。
鮎澤 もちろん本業は医学研究院の教官としての教育・研究ですが、事故防止・安全管理やリスクマネジメントが専門性を必要とする領域であることもあって、九大病院の安全管理にはいろいろなかたちで深く関わっています。例えば、病院の安全管理における中心的な部署である安全管理部のメンバーですし、事故発生時に召集されるコアメンバー会議のメンバーでもあります。また、安全管理に関連するインフォームド・コンセント委員会やクリティカル・パス委員会といったさまざまな委員会・ワーキンググループにもメンバーとして加わっています。
私たちの医療経営・管理学講座はいわゆる「専門職大学院」という高度専門職業人の育成を目的とした修士課程です。教官は実務家としての実力も求められます。ですから病院での実務は、私たちの専門の知識を現場で活かしていただきつつ、安全管理の最前線で実務に関わることができる私たち自身の研鑽の機会、ということにもなります。
もちろん、本業の教育・研究にとっても、病院はまたとないフィールドです。いま、安全管理の手法について、工学や心理学の領域の研究者と一緒に九大病院をフィールドに学際的な実証研究を行っています。安全管理についてはまだエビデンスがないなか、研究結果はすでにいろいろなかたちで病院の取り組みに活かされています。
岡部 大学病院の組織としては、安全管理の責任体制はどうなっているのでしょうか。院長の下にリスクマネジャーを置いておられるのですか。
鮎澤 九大病院は特定機能病院として医療法の施行規則の中に定められていた医療安全管理体制をとっています。もちろん、安全管理の最高責任者は病院長です。実務的な責任者は、4人の副病院長のおひとりである医療安全担当副病院長です。医療安全担当副病院長は先に述べた医療安全管理部の部長でもあります。2名の専任のセーフティマネジャーはその医療安全担当副病院長の下に置かれています。
岡部 そういう安全管理の組織は、横浜市立大病院での患者取り違え事件を契機に平成14年4月に出された例の厚労省の医療安全総合対策指針ができてからできたのでしょうか。
鮎澤 取り違え事件(平成11年)と「医療安全推進総合対策」(平成14年)の間には少し時間があります。取り違え事件以来それぞれの医療現場ではすでにいろいろな取り組みが進んでいましたが、安全管理の組織ということでいえば、あの「総合対策」のなかで進むべき方向性が示され、その方策の一環として医療法の施行規則が改正され、病院および病床を有する診療所が取り組むべき具体的な4項目が定められたこと、かつ医療安全管理体制未整備減算というペナルティがついたこと、加えて、特定機能病院には、専任の医療に係わる安全管理を行うものを配置することが定められたことなどで、広く医療の現場に「医療安全管理体制」が構築されるようになったといえると思います。
岡部 九大病院はその点では進んでいたのでしょうね。
鮎澤 決して九大病院が進んでいたというわけではありません。九大病院だけでなく、あの指針が出る以前から、そして取り違え事件以前から、現場ではすでにいろいろな取り組みが始まっていました。九大病院もそのなかの一つというのが正しい言い方だと思います。
〇 医療事故は増加しているのか、医療事故・安全管理への病院の対応方策
岡部 近年、医療のリスクが非常に高まってきたと言われております。その理由として
医療技術の高度化や常時監視が必要な慢性疾患が増えてきたことが指摘されています。さらには、患者側の権利意識の高揚や価値観の多様化も一つの要因かと思われます。このような医療を取り巻く環境の変化について、リスク管理の観点からはどう捉えておられるのでしょうか。
鮎澤 たとえば、医療技術の高度化よって起きるようになった事故もありますが、その高度化によって防ぐことができるようになった事故もあるわけです。ですから全体として本当に「リスクが非常に高まっているのか」については、エビデンスを踏まえた検証が必要だと思います。
ただ、おっしゃられるように医療技術の高度化や慢性疾患の増加などによって起こる事故が変わってきているのは確かです。であれば、そうした変化に応じた対応方法を考えなければならないことになります。身近な例でいえば、術前に長い入院をしていた時代と日帰り手術の時代では「患者確認」の方法も変わることになるわけです。「変化に応じた対応」こそが、求められるリスク管理ということになります。
岡部 患者の方の意識といいますか、受け止め方が変わったという面は如何でしょうか。
鮎澤 患者さんの意識は急速に変わりつつあると思います。一般的な医療のサービスの受け手としての権利意識も高くなってきているし、そういった権利意識が高まる中で、患者さんと医療従事者、医療機関との関係も大きく変わってきています。それから、今や患者さんは医療に関する情報を豊富に入手しておられます。特にインターネットを通して、これまでにはない量と質の情報を患者さんが持っておられる。そういった変化も、これまでにない大きな変化だと思います。
岡部 やはり供給者と消費者の対等の契約という本来のサービス業のあるべき姿に、医療サービスも変わってきたということですね。
鮎澤 「なぜ医療機関ばかり、こんなにあれこれ要求されて・・・」という声が聞こえてくることがあるのですが、そうではなくて、他の分野ではあたり前とされていることをやるだけのことなのだ、という認識が必要ではないでしょうか。
岡部 そうですね。「自動車の性能を説明せずに、どうして売れるの」というだけのことですね。
鮎澤 はい。他の分野で求められていることが、医療の現場でも同じように求められるようになったのだというところが大事なところだと思います。先に出てきた corporate governance(企業統治)をはじめ、いま企業が求められているaccountability(説明責任)、disclosure(開示)、transparency(透明性)、compliance(法令順守)といったことは、医療機関にも同様に求められているということです。民間企業にとってのキーワードは、やはり医療機関にとってのキーワードでもあるということではないでしょうか。
岡部 それを徹底するには、やはり医師・看護師などの医療従事者の意識をそういうふうに変えなければなりませんね。それは、単なる安全教育の問題よりも大変ですね。
鮎澤 まさに意識を変えることが大事なことだと思いますが、医療従事者も、社会の変化にはそれなりに気づいています。ただ、気づいたあとどうすればよいのか、で壁にぶつかってしまうのです。例えば、マネジメントが大事であるということは認識できても、「じゃあ、そのマネジメントのスキルはどこで獲得すればよいのか」が分かりません。病院の研修ではなかなかそういう機会がないのですね。
これから医療機関という組織を考えていくにあたっては、ならば医療機関のマネジメントはどうあるべきなのか、どういう職員にどのようなマネジメントのスキルをどこで身につけさせていけばいいのか、そういったことを総合的に考えていかなければいけない時代がいよいよ来たということではないでしょうか。
〇 医療安全への現場の取り組みとヘルスケア・リスクマネジメントの重要性
岡部 医療安全に関しては平成14年に厚労省から「医療安全推進総合対策」が出され、医療法においても①指針の整備、②委員会の開催、③職員研修の実施、④改善のための方策の4項目を病院・診療所ともに義務化されました。この4点をきちんと満たさないと診療報酬が減算されるというペナルティも付きました。まだ、走り出したばかりですが、現場での受け止め方や実施状況をどのように評価しておられますか。
鮎澤 社会全体で医療安全、ひいては医療の質を上げていくためには、医療機関の自主的な努力だけに任せるのではなく、いろいろな仕掛けを考えていくことが必要です。「医療法施行規則の改正」はその仕掛けのひとつということになると思います。診療報酬との連動がいいのか、減算なのか加算なのかはまた別の議論として、いずれにしても取り組みが評価される仕掛けは必要です。
医療機関のみならず医療安全に関わるすべての関係者にとって医療安全に向けた駆動力が働くようにどのような仕掛けを構築していくべきかは、これから社会全体にとっての議論すべき重要なテーマです。
岡部 そうですね。もっと基本的な部分の、例えば看護基準にしても、1:2とか1:3とか、要するに数だけの問題で決められていますが、看護師がどこまでやるかという職務範囲というのはわが国では曖昧ですね。アメリカの病院でストレッチャーを押しているのは運搬専門の屈強の男で、看護師は傍についているだけです。わが国では、それが看護師の本来の当然の仕事となっているようですが、患者や物品の搬送という仕事が本来看護師の仕事なのかどうかといった議論はあまりなされていないと思うのですが。
鮎澤 この医療安全を切り口にしてそういった議論が深まっていくことも期待しています。専門職の職務範囲についても、柔軟かつ弾力的に考えていかなければならない解決すべき問題がたくさん出てきています。実は、「数の問題」もいまあらためて大事な問題なのですが、それとともに、職務範囲の問題、そのそれぞれの機能の問題などに、マネジメントという視点から踏み込んでいくことができるのも、この安全管理からではないかと思っています。
岡部 そうなってくると、先生のお仕事もますます幅が広くなって、忙しくなってきますね。
鮎澤 この安全管理が、単に事故が減ったという結果だけではなくて、医療そのもの、そして、組織やマネジメントのあり方そのものを考えていくきっかけになることを期待しているのです。すでに述べましたが、現場の皆さんも気づき始めています。医療の現場もこれから大きく変わっていくのではないでしょうか。
岡部 先生が提唱しておられます「ヘルスケア・リスクマネジメント」という概念は、医療事故の発生防止だけではなく、発生時・発生後の適切な対応を含む幅広い一連の管理業務を指しておられますが、「事故防止・安全管理」では不十分とお考えなのでしょうか。
鮎澤 私は、事故防止・安全管理だけでは不十分だというスタンスをとっています。どんなに真剣に取り組んでも間違いをゼロにすることはできないし、間違いが事故になることをゼロにすることもできないでしょう。医療の現場では、間違いは患者さんの生死に直結していきます。ライセンスを持つ医療従事者であればその責任を問われることにもなります。であればこそ、事故が起きた時やその後の対応、紛争・訴訟の防止と対応も大事になってきます。そこで、事故防止・安全管理だけではなく、それも含んだヘルスケア・リスクマネジメントという考え方とその取り組みが必要だと思うのです。
アメリカでは、「Patient Safety」「Claims Management」「Risk Financing」がリスクマネジメントとして対象とすべきもとのされているのですが、患者の安全とともに、紛争・訴訟の防止と対応、保険・財務の手当ては、これから日本においてもまずます重要になってくるのではないでしょうか。
〇 米国の第三者医療評価機構JCAHOの取り組み
岡部 医療安全対策の面で、米国が先進国かどうかというのは議論のあるところだと思いますが、それでも問題提起が多少早かったというのは事実ですね。その米国でも、言い出されたのは、1990年代に入ってからですからまだ十年も経っていませんが、成果は挙がっているのでしょうか。
鮎澤 医療安全に限らず、安全の成果というのはなかなか検証しにくいのです。それに、取り組んで短期的に目に見える成果が上がるほどこれまで何も取り組んでいなかったわけでもありません。その検証の仕方も含めて、というよりその検証の基になる基礎的なデータの収集や蓄積にいま取り組んでいるというところではないでしょうか。
ただ、その取り組み方を見ると、米国ならではだと思うのですが、わが国と比べ、はるかに多くの資源を投入しているようです。そのきっかけになったのは、1999年に出されたIOM(米国医学研究所)のレポート「To err is human」ということになるのですが、その後の動きには凄まじいものがあり、医療安全に関する研究機関が設立される、大規模なエビデンスの調査を行われる、そして次々政策提言が繰り出される、というように、取り組みの全体像を眺めてみると、やはり動きがダイナミックです。
岡部 米国のJCAHOは評価機関ですが、実態的には病院の認可権限まで握っています。そこに安全性の指標を入れるというのは非常に有効な手段ですが、このJCAHOのように管理権限と連動させて、意識の低いところを引き上げていくことがわが国でもできますでしょうか。
鮎澤 全体を引き上げていこうとするためには、それなりの仕掛けが必要です。“アメとムチ”といいますが、その双方が機能する仕掛けをつくっていかなければなりません。機能させるにあたっては、評価される仕組みも必要です。例えば医療機能評価機構がそうした役割を果たすことは十分考えられることですし、期待したいところでもあります。
岡部 米国のJCAHOは毎年、医療安全の「重点管理項目」を次頁に別掲のように発表していますが、これを読んだかぎりでは、「何と基本的なことを言っているのかな」という印象を受けます。これは基本には違いありませんが、こういう点をしっかりやっておけば、ほぼ十分ということなのでしょうか。
鮎澤 おっしゃられたように、米国でもこれか、というような基本的な項目が並んでいます。でも、これの裏返しは、安全というのはそういうものなのだ、ということではないでしょうか。
岡部 そういう基本的なものなのですね。
鮎澤 はい。ただしその基本的なころについてはきちっと押さえていこうという姿勢には学ぶべき点がたくさんあります。これらの重点項目については、現場で起きているさまざまな事故のなかでも、マネジメントでいうならば集中管理すべき重要なものについて、議論を重ねて選んだものとされています。
この7項目の中の2番目には、医療従事者間のコミュニケーションの改善があります。これをもっと踏み込んでいくと、略語に関する“Official Do Not Use List”が出てきます。「単位の“U”は“0(ゼロ)”や“4”や“cc”と間違いやすいので、“Unit”と書かなければならない」というように、5つだけ、ではありますが、使ってはいけない!として示すわけです。
岡部 最後に “Encourage the active involvement of patients and their families in the patient care and patient safety~”とあります。これが新しく2006年から入ったのですが、先ほどもおっしゃったように、患者の知識とか意識が高まってきているのに、それを使わない手はないですね。これは非常に有効な手段ではないかと思うのですが。
鮎澤 患者参加の事故防止というのはとても大事なアプローチだと考えています。1999年のIOMのレポートの中にも、事故防止・安全管理の視点から、「医療の現場でほとんど活用されていないままになっている重要な資源は患者である」とあって、アメリカでもそれをもとにいろいろ施策が動いているわけです。 JCAHOも“Speak up”というプログラムを展開しています。要するに、「おかしいと思ったら声に出しなさい。患者のあなたがおかしいと思ったら、たぶん何かおかしい。それを手がかりにして、間違いを見つけていきましょう」というプログラムです。
先日、平成14年の「総合対策」に続くものとしていて平成16年6月に発表された「医療安全推進総合対策-今後の医療安全対策について-」においては、その重点項目の3の中に、「患者・国民との情報の共有と患者、国民の主体的参加の促進」が示されています。「患者参加の事故防止」は、これからその内容を具体化していかなければならない、事故防止・安全管理の重要な次なる展開です。
岡部 まさにそうですね。
鮎澤 医療安全の追求は、患者さんにとっても、医療従事者にとっても、医療のあり方そのものを考えていく大変貴重な機会になると思います。というより、これを貴重な機会にしていかなければいけません。患者参加の事故防止も、実は「患者参加の医療」を考えていくことに、そして社会で医療における安全と医療そのものを議論していくことにつながっていくのだと思うのです。
岡部 同感です。本日はありがとうございました。
米国医療機能評価機構Joint Commission on Accreditation of Health Organization(JACHO)が掲げる7項目の “2006 National Patient Safety Goals”
1、患者本人確認の正確性向上
①薬剤や血液製剤投与、採血その他の検査に当たっては、少なくとも二種類の本人確認を行なうこと
②手術に先立っては、確認のための小休止をとるなど、受身ではなく能動的に最終の本人確認を行なうこと
2、医療従事者間の効果的な連絡 ①臨床検査の依頼・結果報告を口頭・電話などで伝えた場合には、その内容を書面で再確認すること
②組織の中で使用してはいけない略語、略称、符号などのリストを作成し、用語を標準化すること
③臨床検査の結果や評価につき、その報告が適時になされ、その報告を必要とする医療従事者が適時に受けとっているかどうかをチェックし、必要な処置を講ずること
④質問の出し方、答え方を含む意思の伝達方法について、標準化された方式を採り入れること
3、投薬時の安全性向上
①一つの組織で使用される薬剤を統一し、数を絞り込むこと
②組織内で使用されている外見が似ている薬剤のリストを同定し、少なくとも年に一に一回はリストを見直し、外見が類似している薬剤の誤用を防止すること
4、院内感染リスクの最小化努力
①現行のCDC(U.S.Centers for Disease Control and Preventions)所定の院内衛生管理ガイドラインを遵守すること
②院内感染に関連したものと考えられるすべての不慮の死亡・身体機能喪失のケースを監視対象として管理すること
5、治療の全期間を通して投薬を的確・完璧に調整管理すること
①来院時や患者と関わりを持った場合には、患者が使用していた薬剤を聴取し、その完全なリストを作成すること
②患者が同一施設内の他科や他の医療施設に移る際には、患者が新たに移る部門や施設にその患者への投薬リストを作成して伝達すること
6、患者の転倒による傷害事故の防止
①転倒防止のプログラムを作成し、そのプログラムの有効性を検証すること
7、患者の安全管理対策として、患者自身とその家族が事故防止に参画するように勧奨すること
①患者が安全管理に参画できる手段を聞き出し、患者協力の進め方を明確にして、患者に伝え、患者の協力を促すこと
(2005年10月発行、医療経済研究機構レター”Monthly IHEP”No.136 p1~7 所収)