三年前(2016年)1月17日、中津川カントリークラブで開催されました元住友銀行OBメンバーの伝統ある第224回親芝会ゴルフコンペにおいて、81歳にして生まれて初めてのホールインワンを達成いたしました。
ホールは浅い谷越えのウェスト8番ホール(ヤーデージ:139ヤード)で、通常は7番ウッドで打つのですが、当日はティーグラウンドに立っても居られないような猛烈な逆風でしたので、5番ウッドを使いました。
驚くなかれ、ボールはグリーンの左手前に落ち、2ヤードほどきれいな弧を描いてゆっくりと吸い込まれるようにホールに入ったのです。
前年の11月に白内障の手術を済ませ200ヤード先まではっきり見えるようになっておりましたので、幸いにもこの時はボールの軌道をはっきりと目視することができました。
この日は風が強いだけで雨は降りませんでしたが、夜からは大雪となって翌日からコースが一週間閉鎖されました。
関係の方々に記念のカードをお贈りする際に添えました拙い一首に、盛岡在住の村井研一郎叔父から嬉しい返句を頂戴しました。
寒晴に力を抜きて一振りのホールインワン神の仕業か 陽二
ひとふりで見事射止めて年新た 研一郎
私のゴルフ歴はかれこれ60年になりますが、若いころはほかにやりたいことが多く、働き盛りは腰痛で悩まされていたこともあって、お付き合い程度のゴルフに終始して、腕前は一向に上達しませんでした。
ただ、ロンドンに13年あまり勤務しておりました間に毎年スコットランドを訪れ、かつて全英オープンが開催されました4コースでプレーする機会を得ましたのは望外の歓びでした。
スコットランド人のゴルフ好きは格別で、"Golf Addict"(ゴルフ中毒症)という病名があり、この表題のゴルフ専門誌も発行されています。また、1452年にはスコットランド国王がゴルフ禁止令を出したにもかかわらず、人民はそれを無視してプレーを続けたという歴史記述も残されております。
スコットランドの東海岸のゴルフ場には、北から順にカーヌスティ、ゴルフ発祥の地として有名なセントアンドリュースのオールドコース、ミュアフィールドと続き、西岸にロイヤルトルーンとターンベリーがあります。ロイヤルトルーンだけは訪れる機会がありませんでしたが、他のコースはことごとく体験できました。
加えて、スコットランドのど真ん中にあるグレンイーグルスは、まさに世界最高のリゾート・コースでこよなく快適でした。このコースはリンクスではないため、全英オープンの開催場所とはなりませんが、グレンイーグルス・ホテルでは2005年のG8サミット会合も開催されております。
週末にロンドンからの夜行列車でグレンイーグルス向かい、早朝に着いてプレイ後に一泊、翌日はセントアンドリュースでプレイをして飛行機で帰るというツアーを何回か試みた記憶が今も鮮明に残っております。
英国の総じてフラットなコースに時に郷愁を覚えることもありますが、中津川のような起伏の多い山岳コースにも、プレーし慣れると味わい深いものがあり、新しい思い出に育ちつつあります。
ネット情報によりますと、世界の最高齢のホールインワンは、2014年にフロリダに住む103歳の米国人男性による113ヤードをドライバーで打った記録とのことです。
再度のホールインワンは望むべくもありませんが、私も気力の続くかぎりはゴルフを続け、このような高齢プレー記録にあやかりたいものです。
(2019年9月1日、中津川カントリークラブ発行「中津川カントリークラブ五十周年史」p114~117所収)