1991年3月11日に住友銀行が大阪で開催した「統一ドイツセミナー」での私の講演が二紙で報じられました。
1989年のベルリンの壁崩壊を経て、1990年には東西ドイツの統一が実現しました。当行もベルリン駐在員事務所を開設するなど、拡大する欧州市場への対応を図ってきましたが、この講演会もその一環として開催されたものです。
1991年3月12日付け日本経済新聞「エコー」
◆統一独がラブコール 岡部陽二住友銀行専務
同行きっての國際派として知られ、現在はロンドンに駐在している。このほど開いた「統一ドイツセミナー」に出席するために帰国した。聴衆の中には中堅・・中小企業の経営者も多く、「大手企業よりも熱心。独側も産業のすそ野を広げるために技術力のある日本の中小企業の進出を望んでいる」と、セミナーの反響に満足そう。旧東独地城では約8千社もの企業が経営難から売りに出ているという。「欧州事務所にM&A(企業の合併・買収)スタッフも揃え、独進出を後押しする体制は整った」と近畿圏の企業の進出意欲に期待をかける。
1991年3月12日付け産経新聞「兎の耳」
日本孤立論調に驚き
「欧州では湾岸戦争への対応で日本を非難する声はあまり聞きませんね。むしろ日本同様に多国籍軍に参加しなかったドイツや、援助が少額に留まったイタリアへの風当たりが強いのが目立ちます」と解説するのは住友銀行欧州駐在の岡部陽二専務。
岡部さんは昭和59年二ロンドン支店長として赴任して以来、現地で指揮を執り続ける同行の欧州での顔。このセミナー講師として帰国、日本孤立の論調に驚いたという。
「国際社会で日本が孤立するという雰囲気は、欧州にいて感じられません。経済問題など日本との摩擦問題の交渉力カードとして、米国が利用している向きがあるのでは」。