「我が国銀行の国際化は、ようやく半人前になったばかりだ。国際業務は量的には順調に拡大し、成長しているものの、質的にはまだまだこれからで、始まったばかり。また収益面で、全体収益への寄与率もどのくらいとするかは一概には言えないが、現在の20-30%をもっと伸ばしてもさしつかえない」。
「国際金融は、企業への貸金とプロジェクトファイナンス優先というのが本来の姿である。民間金融機関においては、発展途上国への融資は過渡的かつ補完的なものとするのが一般的だ。国際金融不安の中で、邦銀全体としてはカントリーがだめだから企業へという傾向もみられるが、それは短絡的過ぎる。このまま続くようなら、必ず大火傷を負うはずだ」。
今後の国際化は、海外での現地化をいかに進めるかが勝負の分かれ目になってくると思う。海外で現地人を住友銀行員として採用、幹部職員や副支店長クラスまで登用していけば、現地化も本物となり、国際化を進めるうえで大きく貢献するだろう。当行は現在、ロンドン支店、住友ファイナンス・インターナショナルに合計10人強の外国人幹部を採用している。いずれもオックスフォードやケンブリッジ大出身者であるが、数年前、住友ファインアンス・インターナショナルでオックスフォード大出身者を初めて一人採った時の大騒ぎに比べれば、かなり進んだといえる。当部にもロンドンで採用した外国人が一人いるが、いずれは向こうに戻すことで活躍の場ができる」。
「外国人の養成は拙速を避け、じっくり育てていくのが望ましい。住友の経営理念をマスターさせながら、長期的観点で対応している。当行独自の行き方を理解してもらい、将来の大きな戦力として育てていく方針である」。
「いつもイノベイティブでありたいと思う。訳せば革新的ということになるが、単純に人より一歩先に行動することとは異なっている。常にニーズに応えることのできるベストの方法とは何かを探り、実行に移していくもので、どちらかといえば、創造的・クリエイティブに近い意味だ」。
(住友銀行取締役国際投融資部長 岡部陽二)
おかべ・ようじ昭9年生まれ、京都府出身。32年京大法卒、同年入行、外部長代理、加州住友ロサンゼルス支店長代理、本店営業部取引先課長代理、東京外国部部長代理、外国部(東京)次長、国際業務部、東京営業部各副部長、住友ファイナンス・インターナショナル社長、国際投融資部長、57年6月取締役国際投融資部長。
(1983年7月28日(木)付け銀行新報「これから(284)」欄)